中小企業の社長の相続
a−22. 取引相場のない株式の売買価額(時価)

相続税法・所得税法・法人税法ではどう規定されているのでしょうか。


- この問題は課税庁との間で税務トラブルが多いので条文により説明します。
- @ 相続税や贈与税では、相続税法の財産評価基本通達に定める評価方法によって計算した時価
- Aイ.所得税法上では、上記@の財産評価基本通達178から189−7によるが、具体的内容については所得税法基本通達23から35共−9に準じて算定することとし、更にその内容については同通達59−6に「一株又は一口当りの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」によるとした上で、一定の条件がついている。
- ロ.従って、相続や贈与による場合よりもその価額は高くなると考えられている。この場合売却先が個人から法人へであれば、譲渡した株式の価額が時価の2分の1未満であるときは、時価で譲渡したものとみなされる。又、低額で譲り受けた会社の株主にとっては、経済的利益として贈与税の課税対象になる場合がある。
- B 法人税法上は、原則として所得税法上の時価による
- C 所得税法の基本通達59−6(株式等を贈与等した場合の「その時における価額」)
- イ.法第59条第1項の規定の適用に当たって、譲渡所得の基因となる資産が株式である場合の同項に規定する「その時における価額」とは、23〜35共−9に準じて算定した価額による。
- ロ.この場合、23〜35共−9の(4)2に定める「一株又は一口当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」とは、原則として、次のハ以下によることを条件に、昭和39年4月25日付直資56・直審(資)17「財産評価基本通達」(法令解釈通達)の178から189−7まで(取引相場のない株式の評価)の例により算定した価額とする。
- ハ.財産評価基本通達188の(1)に定める「同族株主」に該当するかどうかは、株式を譲渡又は贈与した個人の当該譲渡又は贈与直前の議決権の数により判定すること。
- ニ.当該株式の価額につき財産評価基本通達179の例により算定する場合(同通達189−3の(1)において同通達179に準じて算定する場合を含む。)において、株式を譲渡又は贈与した個人が当該株式の発行会社にとって同通達188の(2)に定める「中心的な同族株主」に該当するときは、当該発行会社は常に同通達178に定める「小会社」に該当するものとしてその例によること。
- ホ.この場合には当該株式の発行会社が土地等又は有価証券を有しているときは、財産評価基本通達185の本文に定める「一株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額))」の計算に当たり、これらの資産については、当該譲渡又は贈与の時における価額によること。
- ヘ.更に財産評価基本通達185の本文に定める「一株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の計算に当たり、同通達186−2により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額は控除しないこと。
- D 各税法ごとに注意して売買価額を決める必要があり、専門家の意見が重要と考えられます。
