中小企業の社長の相続
a−19. 特定同族会社事業用宅地等の要件

特定同族会社事業用宅地として特例の適用が受けられる要件を教えて下さい。


- @ 特定同族会社の意義
- 特定同族会社とは、相続開始直前に被相続人及びその被相続人の親族その他その被相続人と特別の関係がある者が有する株式の総数または出資の金額の合計額がその株式または出資に係る法人の発行済株式の総数または出資金額の10分の5を超える法人。
- A 要件
- イ.その宅地等を相続又は遺贈により取得した親族が相続開始時から申告期限まで引き続き有し、かつ、申告期限まで引き続きその法人の事業の用に供されていること。
- ロ.具体的な内容は次の通り
1.当該法人に貸し付けられていた宅地等
2.当該法人の事業の用に供されていた建物等で、被相続人が所有していたもの又は被相続人と生計を一にしていたその被相続人の親族が所有していたもの(当該親族が当該建物等の敷地を被相続人から無償で借り受けていた場合における当該建物等に限る。)で、その法人に貸し付けられていたものの敷地の用に供されていたもの - ハ.取得者のうちに、被相続人の親族で、申告期限においてその法人の役員(みなし役員を含む)である者がいること。
- ニ.「事業」については、特定事業用宅地等の事業の範囲と同じで、400uまで80%の評価減あり。したがって、不動産貸付業、例えば賃貸用マンションや貸店舗等の敷地は200uまで50%減になる。
- B 相当の対価を得て継続的に貸付けられていること
- イ.「相当の対価を得て継続的」に行われていないものは対象外となり、使用賃借の場合は一切減額はない。
- ロ.近隣の相場で賃貸している限りは、相当の利益がなくてもいいのではないか。
- ハ.それでは、「固定資産税相当額」を賃料として払えばいいのかといえば、課税庁側では、それは無償と同じとして取扱っている。
- ニ.よって、会社が赤字だからといって賃料をゼロにしたり安くするのも考えもので、継続性を説明するために過去の契約書を保管の上、決算書上では未払金計上が必要となる。
- C 同族会社へ貸している建物敷地の賃料が安過ぎる場合はどうするか
- イ.近隣の相場より極端に安い場合は上記Bに該当して、特例の対象にならないこともあるので注意が必要。
- ロ.何らかの理由で賃料を下げる場合は、契約書で賃料に見合う専有部分の面積を決めて、残地は無償使用とすれば専有部分については相当の対価を得ている限りは特例の適用あり。
