中小企業の社長の相続
a−13. 相続時精算課税制度の利用事例

せっかくの制度ですから事業承継に利用したいと思いますが、何をどう活用したらいいのでしょうか。


- @ 利用される利点は何か
- イ.相続が発生した場合、相続時精算課税を選択した財産については、その贈与時の価額で評価されるため、将来にわたって価値が上昇する財産や収益を見込める財産を選択したほうが有利になります。なお選択した土地については小規模宅地等の減額の特例が受けられないので、慎重に選択すべきです。
- ロ.新制度の誕生で、親が生存中に誰に何を相続させるかを示し贈与する財産を決めることができます。この結果、将来の争族を避ける効果も期待できます。なお、具体的な活用方法は次の通りです。
- A 事業承継にどう活用するか
- イ.借金のない事業用店舗、倉庫、工場等
- 1.収益が上がる財産を贈与すれば、贈与時から相続時までに将来発生するであろう相続に伴う納税資金が受贈者に非課税で移転できます。逆に、被相続人がその物件を持ち続けていれば、預貯金が増えるか借入金が減るかで相続財産が増えます。
- 2.贈与する物件は、評価額が同じであれば利回りのよいものから優先しましょう。
- ロ.事業が好調な会社の自社株
- 1.業績が順調なオーナー経営者の株は、株価の上昇が予想されるので今のうちに贈与します。なお、一時的な要因で業績が下がったとき(赤字のとき)に贈与すれば評価額が下がるので、タイミングを見計らって贈与すれば効果的です。
- 2.その後、事業承継者が努力して会社が成長し、後株価が急上昇しても贈与を受けた株式の評価には全く影響がない。
- 3.但し、相続時に倒産や債務超過で評価額がゼロになっても合算の対象になることに注意が必要。
- ハ.事業承継者を決める
- 会社を長男に承継させたい場合、相続時まで待たずにオーナーの意思で株式は長男に、現預金などをその他の者に生前に贈与しておけば、会社をスムーズに長男に譲れます。
