中小企業の社長の相続
a−11. 退職金支給の効果

経営者に退職金を支払えば、株価引下げの効果は大ですが、支払財源がない場合の手当はどうするか。


- @ 経営者に退職金を支払えば株価引下げの効果あり
- イ.生前に退職金を支払った方がいいのか。
ロ.現役のまま死亡退職金を支払った方がいいか。 - A 退職金は受取った遺族にとっては、相続税の納税資金になり、死亡退職であれば一定額の弔慰金は課税対象外となる
- イ.死亡退職金の非課税限度額が使える
- 500万円×法定相続人の数
- ロ.弔慰金の非課税限度額を使うためには退職金の支払明細書を区分表示する必要あり
1.業務外死亡の場合 − 死亡時の報酬月額×6ヶ月分の額
2.業務上死亡の場合 − 死亡時の報酬月額×36ヶ月分の額
ハ.オーナーが社長になっている場合は利用価値が大きい。 - B 役員退職金の支給は株主総会の決議が必要
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イ.株主総会の決議
法人税取扱通達(基本通達)9-2-28に、退職した役員に対する退職給与の損金算入の時期は、株主総会の決議等により、その額が具体的に確定した日の属する事業年度とする。
ロ.役員に対する退職給与の損金算入の時期は支払時でもよい。
税法の特例として、法人がその退職給与の額を支払った日の属する事業年度において損金経理をした場合には、これを認める。
ハ.高額な退職金は認められない
退職金の額が、@役員のその法人の業務に従事した期間、Aその退職の事情、Bその法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職金の支給の状況等に照らし、その退職した役員に対する退職金として相当であると認められる金額を超える場合にはその超える部分の金額をいう。 - C 赤字の会社では退職金は認めらないのか
- 赤字の会社でも過去に利益が計上されていたのであれば、退職金の支給は認められる。役員退職金支給規定がない場合は、株主総会議事録でその計算基礎を明らかにしておく必要がある。
- D 議事録の見本
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定時株主総会議事録
省 略
第3号議案 退職慰労金支給に関する件
議長は、本定時株主総会終結をもって代表取締役を辞任する××××に対して退職慰労金を支給したい旨、またその金額については、当会社創立以来今日までの会社に対する貢献度、会社の業績及び在職年数等を総合的に勘案した結果、下記の支給基準に基づいて決定したい旨、その支払方法及び支給時期は取締役会に一任したい旨を説明しその可否について議場に諮ったところ、満場一致をもって承認可決した。
退職慰労金 3,000万円
500,000円×30年×2倍
(支給基準・退職時の月額役員報酬額×勤続年数×功績倍率加算率) - E 役員退職慰労金<弔慰金>支給規定を作成しておくべき
- 株主総会で規定の作成について取締役会に一任する旨決め、取締役会で議案として具体的内容を決議する。
