中小企業の社長の相続
a−10. 生命保険金の種類と株式評価上の注意点

法人として加入すべき節税と資金調達原資としての生命保険、また、入金になった時に自己株式の評価上の注意点について教えて下さい。


- @ 節税対策と貯蓄対策として利用されている保険
- イ.逓増定期保険
- 1.保険料は一定で、保険期間のうち前期期間中は契約時の保険金額(基準保険金額)のまま推移し、後期期間には年複利で毎年増加し、期間の経過で死亡保障額が5倍までに達し、5倍のまま保険期間終了時まで推移する。
2.当初は割高な保険料を支払うが、途中解約での解約返戻金が90%前後戻ってくる。
3.満期保険金はないが、会社の社外預金として内部留保に役立つ。他の保険種類にも変換できる。
4.当初は全額損金算入を認めていたが、平成20年2月28日以後の契約より1/2損金算入。但し、一定期間経過後は全額損金算入が認められ、契約者貸付制度も利用できる。 - ロ.終身保障型がん保険
- 1.死亡時の保障の他にがんと診断されれば、その時点で「給付金」が請求できる。
解約返戻金が上記と同様に高い。
2.保険料は1/2経費算入が可能だが、受取保険金の限度額が低いのが残念。 - ハ.長期平準定期保険
- 1.大型保障で企業とその家族の生活保障や相続税対策として有効で、納税資金の財源の確保に役立つ。
2.解約返戻金が増加するのに長い期間がかかり、若い経営者用で退職慰労金の財源確保にも利用でき、保障期間が99才まであり、解約返戻金が長期間にわたり増加していく。
3.保険料は1/2損金算入が可能で、契約者貸付制度も利用でき、他の保険種類にも変換できる。 - A 生命保険金による株式評価上の記入例
- イ.生命保険請求権は資産計上
- 被相続人の死亡を保険事故として評価会社が受け取った生命保険金は、その保険金のうちから死亡退職金の支払いの有無にかかわらず、生命保険金請求権として、相続税評価額及び帳簿価額ともに資産に計上する。
- ロ.退職金は負債計上
- 被相続人の死亡後に支給される死亡退職金は負債に計上する。
- ハ.保険差益に対する法人税等は負債計上
- 被相続人の死亡を保険事故として、支払われた保険金について生ずる保険差益については、その38%(平成27年4月1日以後に開始する事業年度から適用)相当額を法人税額等相当額として負債に計上する。
- 二.なお、生命保険金から退職手当金等を支給した場合には、その退職手当金等を控除した後の保険差益について法人税額等を計上することになる。
- B 計算事例
