中小企業の社長の相続
a−02. 中小企業者の事業承継の現況

中小企業者が事業をスム−ズに後継者に承継させるためのポイントはなんでしょうか。


- @ 「事業承継」・「企業承継」という言葉の意味は「企業の相続」のこと
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イ.個人の相続対策の対象
その対策の対象となるのは「人の財産」です。
ロ.法人の相続対策の対象
これに対して、法人の事業承継対策では「会社の財産」が対象になります。しかも、会社の財産には金額で評価されるものの他に、人的経営資源として金額で評価されない次のものが含まれます。
1.従業員及びその家族
2.取引先や金融機関
3.営業や経営自体に関する経営ノウハウ
4.経営哲学等の経営権
ハ.遺留分に注意して対策を行う
経営者の保有する自社株と事業用資産の承継の際には、他の相続人の遺留分に注意して、その対策を進める必要があります。
二.承継の資金調達は生命保険金でまかなう
1.分散した自社株式の買取り資金として利用する。
2.相続税の納税資金として利用する。 - A 事業の後継者をどう育成して、経営のバトンをスム−ズに渡すか
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イ.長男承継は当然か
1.子供の性格と経営能力を判断する。
2.本人が経営を補佐するスタッフの重要さを忘れない人かどうか。
3.但し、先代に仕えていた専務クラスの力が強過ぎるとうまくいかない。
ロ.他人への事業承継はどうか
1.従業員が一致団結するのに適した人は誰か。
2.世襲を白紙に戻した上で、その可能性を考えてみよう。
3.少子化や厳しい経営環境で親族の後継ぎが少なくなってきている。
4.そこで、親族外への事業承継が広がりつつある。
ハ.従業員はどうか
1.資力がなければ株式の一部しか買取れない。それでは経営者としての地位が不安定となる。
2.そこで定款変更により後継者の任期を3年〜10年とし、更に任期途中での解任を拒否できる株式を持たせる。
3.社長は大株主としての地位を確保しながら、後継者が経営者として力をつけるのを待つ。
ニ.M&Aも考えてみる
1.中小の合併、買収を仲介する業者も増え、同業者への会社譲渡への抵抗感も薄れてきている。
2.合併は合併比率その他の問題をクリアしなければならない。
3.買収は株式を買取って完全子会社にすればよい。
ホ.後継者を育成しながら会社の若返りを図る
1.若い会社には行動力と実践力がある。
2.60歳を過ぎると体力的にも精神的にも限界がくる。
3.知力(解析力・判断力)、体力(記憶力・実践力・行動力)能力は若い人にある。
