相続を争続にしない方法等
c−17. 共同相続人中に未成年者がいる場合の分割協議

相続人の中に未成年者がいると分割協議が難しいといわれていますが、どういうことでしょうか。


- @ 親権者である親が、法定代理人として分割協議を行う場合
- イ.一般に未成年者は、法律行為を行う能力が不完全であるとされています。
- ロ.そこで、共同相続人中に未成年者がいる場合には、親権者である親が、未成年の相続人に代わり法定代理人として遺産分割協議を行うことができる場合があります。
- ハ.次の場合、東京花子の父親である東京太郎は今回の相続については相続人ではないので、未成年者である東京花子と利益が相反すること(利益相反行為)にはならないので、何ら手続きを要せずに法定代理人として遺産分割協議に参加することができます。
- A 特別代理人を選任して分割協議を行う場合
- 次のイ、ロの場合は、遺産分割協議について未成年の相続人に代わって特別代理人の選任が必要になります。
- イ.親権者と未成年者とが共に共同相続人であり、親権者と未成年者との間で利益が相反し、親が法定代理人になれない場合があります。 次の場合、被相続人の配偶者である千代田桃子が、家庭裁判所に対し、子である未成年者のために特別代理人の選任を申し立てなければなりません。
- ロ.親権者を同じくする複数の未成年者がいる場合、その1人と他の子との利益が相反する行為について親権者は、その子である複数の未成年者のうちの1人の代理人になることはできますが、その他の未成年者についてはなれないので、特別代理人の選任が必要になります。
- B 特別代理人選任の申し立て
- 上記Aの場合、親権を行う親は、子である未成年者のために特別代理人の選任を子供の住所地の家庭裁判所に申し立てをして、未成年者の特別代理人の選任を受けてから遺産分割協議をすることになります。
- C 申し立ては早目に
- イ.申し立てをしてから1週間位で、申し立てに対する照会状が郵送されてきますが、すみやかに回答書を返送しても審判書が手許に届くにはそれからさらに1週間以上もかかります。審判書が届かなければ分割協議も整わず、結果的に相続登記や預金名義の変更ができません。また、税務申告は未分割による申告となり、様々な不利益を受けることになります。
- ロ.よって、相続税の申告期限は予め決められていますから、手続きにかかる日数を計算のうえ、早めに申し立て手続きを進める必要があります。
- D 遺産分割協議書(案)も同時に提出
- イ.家庭裁判所では、遺産分割協議書(案)の内容が未成年者の利益を保護しているかどうか確認されます。
- ロ.その内容が未成年者の利益を著しく損なっている場合は、特別代理人の選任が認められず、再度別の遺産分割協議書(案)の提出を求められる場合があります。
- E 時によっては遺産分割協議書(案)と審判の書類がセットになっている
- 審判が下れば提出した遺産分割協議書案の通り遺産分割をしなければならず、内容の変更は認められないので、当初から特別代理人との間で慎重に分割協議を進める必要があります。
