相続を争続にしない方法等
c−13. 限定承認と相続放棄

父が病床にあった間に、同居していた長男が父の事業を失敗させ、財産よりも借金のほうが多くなってしまいました。借金を相続しない方法はありませんか。


- @ 借金も相続財産になる
- 相続では、被相続人の全ての財産を相続人が引き継ぎますが、財産にはプラスの財産ばかりではなく、マイナスの財産としての借金や税金の未払金も含まれます。したがって、借金が多い時は、安易に相続(単純相続)したために、莫大な借金をも背負い込むことになります。
- A 限定承認するか相続放棄をする
- そこで、民法では、相続人を保護するために「限定承認」と「相続放棄」という制度を設けています。
- イ.限定承認
資産も債務も引き継ぎますが、借金支払いは、引き継いだ資産の範囲内で行います。
手続きは、相続開始のあったことを知った日から3ヶ月以内に、「家庭裁判所」に申述書を提出します。
また、相続人が数人いる時は、全員が共同して財産目録をそろえて提出することになりますが、1人でも反対者がいれば限定承認をすることはできません。 - ロ.相続放棄
手続きは限定承認と同じですが、相続放棄は相続人1人でもできます。この場合初めから相続人にならなかったものとみなされ、資産も債務も全て引き継がないことになります。 - B 相続開始のあったことを知った日から3ヶ月以内とは
- 親の相続であれば、原則として親が死亡したことを知った日から3ヶ月以内という意味です。なお、3ヶ月では被相続人の資産と負債を調査することが無理な場合は、裁判所の許可を得て、この期間を延長することもできます。
- C 生前に遺留分放棄許可を受けていた場合
- これはあくまでも被相続人の遺言があった場合に、その遺留分を放棄するという意味であり、遺言がなければ何ら放棄の効果はありません。したがって、借金が多い場合はどうしても「限定承認」か「相続放棄」の手続きが必要になります。
