相続を争続にしない方法等
c−06. 公正証書遺言の仕方

公正証書遺言をする場合は自分で書かなくてもいいのですか。


- @ 公証人が書いてくれる
- イ.遺言者は、何も書く必要がありません。「公証人」が遺言の内容を聞いて、遺言者に代わって証書を作ります。
ロ.数人の相続人について、遺言者が自由に相続の内容を定めることができます。
1人の相続人だけに全部の財産を与える遺言もできます。
ハ.遺言者は何時でも遺言を取り消せます。また、遺言で与えることになっている財産を売って消費してしまうことも自由です。 - A 遺言執行者は後継者が便利
- イ.財産をもらう相続人が自分1人で建物や土地の名義変更ができるように、「遺言執行者」に指定してもらうことができます。
ロ.この場合は、財産をもらう人の印鑑だけで名義書換ができ、他の相続人の印鑑をもらう必要はありません。 - B 遺留分をどうするか
- イ.遺留分権利者が遺言に不服であっても、相続開始の後にこの権利は相続の開始及び遺留分の侵害があったことを知った日から1年間行使しないと時効で消滅します。
ロ.遺留分についての争いは裁判所で解決してもらえます。その場合、遺留分権利者に一部の遺産を返還することになるかもしれませんが、金銭があれば金銭で賠償すればよく、不動産等の現物を返還する必要はありません。
ハ.また争いを未然に防ぐために、あらかじめ遺言の中で遺留分権利者に遺留分に相当する額の金銭を月賦などで支払うように決めておくこともできます。 - C その他の事項
- イ.遺言で財産をもらった人は、相続人同様、贈与税でなく「相続税」を払えばよいのです。相続税の税率と基礎控除額は、贈与税よりはるかに有利です。
ロ.遺言者が署名した公正証書原本は、公証役場が永久的に保存します。正本と謄本は、遺言者に渡します。これは紛失しても再交付を請求できます。
ハ.生命保険金と退職金は、約款や会社規定により受取人の指定があるので、遺言財産には含まれません。
ニ.市街化調整区域内の農地は、相続人以外への贈与はほとんどの場合、農業委員会の承認が得られません。 - D 遺言は自由だが、法的な効力が生じる事項は民法で定められている
- 遺言は遺言者が原則として自由になすことが出来ます。しかし、民法は遺言できる行為として、以下に述べる10種類をあげています。これ以外のことを遺言の内容としても法律上の効力は生じません。
イ.身分に関する事項
1.認知
2.後見人指定および後見監督人の指定
自分が死亡すれば親権者がなくなる未成年の子がある場合に、その子の親代わりとなる者、およびその者を監督する者を指定すること。
ロ.相続に関する事項
1.相続人の廃除および廃除の取消し
2.相続分の指定または指定の委託
3.遺産分割方法の指定または指定の委託
4.遺産分割の禁止
これにより相続開始後5年間まで遺産の分割を禁止することが可能となります。
5.相続人間の担保責任の指定
6.遺贈の減殺方法の指定
7.遺言執行者の指定または指定の委託
ハ.財産処分に関する事項
1.遺贈、寄附行為 - E 証人が2人必要
- イ.公正証書遺言をするには、立会人(証人)が2人必要です。
ロ.証人は、借金の保証人ではないので、法律上の責任を負うことはありません。 - F 手数料
- イ.手数料は、与えられる財産の時価(固定資産の評価額ではなく、実際の売買予想価格)によって算出された金額に応じて、政令で定められています。
ロ.なお、財産を与えられる人が数人いるときは、各人ごとの手数料を合計します。 - G 証書作成に必要な資料
- 遺言を作る時は、証人を連れて来る1週間位前に下記の資料を公証人役場に届けて下さい。
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事前に届ける書類 証書作成当日出頭する人 (1)遺言者の印鑑証明書一通
(2)立会人2名の住所、職業、氏名、生年 月日を記載した便せん
(3)財産をもらう人の住民票(または住所、職業、氏名、生年月日を記載した便せん)
(4)土地と建物の登記簿謄本
(5)財産目録
(6)固定資産税の名寄帳(評価証明書)
(7)遺言者と家族を載せてある除籍謄本または戸籍謄本
(1) 遺言者 (実印持参)
(2) 立会人 (証人2名認印持参)
※以上の3名は必ず出頭すること
