相続対策の基本
a−10. 相続時精算課税制度

相続時精算課税制度の活用事例を教えて下さい。


- @ 高収益の賃貸アパート、マンション
- イ. 収益が上がる財産を贈与すれば、贈与時から相続時までに将来発生するであろう相続に伴う納税資金が受贈者に非課税で移転できます。逆に、被相続人がその物件を持ち続けていれば、預貯金が増えるか借入金が返済されるかで相続財産が増えるだけです。
- ロ. 贈与する物件は、評価額が同じであれば利回りのよいものから優先しましょう。
- ハ. 但し、将来空室が増えたり大改修費の負担で不利になる場合もあります。
- A 値上がり確実な土地
- イ. 近い将来、市街化調整区域から市街化区域に変更される予定がある場合など、値上がりが確実な土地。
- ロ. 今は区画整理中で評価は倍率方式か路線価方式で安いが、造成が進めば個別評価になり、完成すれば路線価が付され評価が上昇する土地。
- ハ. 親の土地に子供が居宅を建てて住んでいる場合、その敷地を贈与すれば、将来子供がその土地建物を売却しても居住用財産の3,000万円の特別控除が受けられます。
- B 事業が好調な会社の自社株
- イ. 業績が順調なオーナー経営者の株については、株価の上昇が予想されますから今のうちに贈与します。なお、一時的な要因で業績が下がったとき(赤字のとき)に贈与すれば評価額が下がりますので、タイミングを見計らって贈与すれば効果的です。
- ロ. 相続時に倒産や債務超過で評価額がゼロになっても合算の対象になります。
- C 事業承継
- 会社を長男等に承継させたい場合、相続まで待って分割協議を行うよりもオーナーの意思で株式は長男に、現金などをその他の者に贈与しておけば、会社をスムーズに長男に譲れます。
- D 現金の贈与
- イ. 贈与を受ける側に、借入金がある場合は、それを返済することにより金利相当分だけは運用ができます。
- ロ. 贈与を受けた者が、その現金をどう運用するかで有利か不利かが決まります。
- E 円滑な相続
- 仲の悪い兄弟がいる場合など、相続で分割協議が円滑に行われない可能性がある場合は、生前に被相続人がそれぞれに贈与しておけば、争いも少なくなると思われます。
- F 親が子供の借金を肩代わり
- 子供の借金を肩代わりして弁済してあげる代りに、他の相続人に対する遺言書の効果が保障されるように、肩代わりしてもらったその子供に対して家庭裁判所で遺留分の放棄の手続きをとらせる必要があります。
- G 時価下落資産の贈与
- イ. 親子間贈与の組合せの選択で、従来の暦年課税方式を選択するとよい。
- ロ. 生前贈与の適否について、他の推定相続人を交えて協議の必要があります。
