相続税の計算はどうなる
b−5. 借金の引き継ぎと免責的債務引受契約

長男が借金を相続したのに、銀行から私達に借金引受けの書類に署名と実印が必要との連絡がありましたが、どういうことでしょうか?


- @ 借金の引き継ぎについて
- イ. 相続とは、人の死亡により被相続人に属する一切の権利と義務を相続人が承継することをいいます。
- ロ. 遺言がない場合、プラス財産である資産については相続人間の分割協議で各人の取得分を決めればそれで有効です。しかし、借金については相続人間の合意で誰が引き継ぐのかを決めても、法律上は一旦相続人全員が法定相続分に応じて承継することになっています。
- ハ. 借金の承継については、金融機関関係等の承諾がない限り認められません。例えば、返済能力のない相続人に借金だけ背負い込ませ、他の相続人が借金の負担から逃げることになれば、債権者が保有している債権が回収不能になってしまうからです。
- A 実務上は他の相続人に対しては免責的債務引受契約を結ぶ
- イ. 個人に対する大口融資では、一般的に土地建物等の担保物を相続した相続人に相続債務の全額を負担させて、その他の相続人の債務を免除する方法をとるのが普通です。この方法を免責的債務引受といいます。
- ロ. そこで、金融機関は遺言や遺産分割協議によって債務を引き受けた相続人(引受人)との間で、本来相続した法定相続分の相続債務の確認と、他の相続人が相続した相続債務を引き受け、他の相続人に対しては銀行が相続債務を免除する免責的債務引受契約を結びます。
- ハ.免責的債務引受契約では、債権者、債務を引受ける債務者(引受人)、債務の免責を受ける債務者(債務者)の三者契約をすることになっております。
- ニ. 相続人が免責的債務引受契約に署名押印しない場合は、金融機関はその相続人に対して債務免除をしないことになり、もし債務を引受けた相続人が相続債務を支払うことができなくなったら残債務の請求を受ける可能性があります。
