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個人の不動産取引と税務
a−22. 低額譲渡の課税関係
個人が法人に対して時価の2分の1より低い金額で資産を譲渡した場合、みなし譲渡所得課税の対象とされますが、譲渡の相手が個人の場合にはその適用はないのでしょうか。
- @ 時価の2分の1に満たない金額で資産を譲渡した場合に、いわゆる時価で資産を譲渡したとみなされるのは、法人に対する譲渡だけです。
- (1)資産の譲渡があったときには、その譲渡前の保有していた期間中における資産の値上がり益はその譲渡前の所有者の所得として清算するのが譲渡課税の制度です。
- (2)そこで、個人に対しての贈与、遺贈、低額譲渡については、時価で資産の譲渡があったものとみなして譲渡所得の課税を行うというのが、かつてのみなし譲渡課税の制度でした。
- A 個人間の低額譲渡と取得費及び取得時期の引継制度
- (1)昭和48年の所得税法の改正で個人間のみなし譲渡課税の適用は廃止され、従前提出していた「贈与等に関する明細書」の提出は要せず、自動的に受贈者等は贈与者等の資産の取得時期及び価額を引き継ぐことになりました。
- (2)即ち、個人から個人への譲渡はその対価の多少にかかわらず、改正後はみなし譲渡の規定の適用はありません。その代わり譲受人の側で贈与税が課税されます。
- B 事例による課税関係と取得費の引継
譲渡の相手方 |
子供 |
土地の時価 |
4,000万円 |
路線価による評価額 |
3,000万円 |
譲渡価額 |
1,600万円 |
取得価額 |
2,400万円 |
取得時期 |
平成15年1月 |
- (1)譲渡損失 1,600万円−2,400万円=800万円はなかったものとされます。
- (2)子供が将来譲渡した場合には、取得費は2,400万円、取得時期は平成15年1月となります。
- (3)子供には低額による譲受利益 4,000万円−1,600万円=2,400万円が贈与税の課税対象となります。
- (4)対価を伴う取引の譲渡対価の額はあくまでも時価を基準にするため、路線価による評価額は計算上は何ら関係ありません。
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