税務調査他の注意点
c−1. 相続税の税務調査の概要
相続税の税務調査の概要について、教えて下さい。
- @ 相続税の税務調査の特殊性
- 相続税の調査は、死亡した本人に帰属する全財産が洩れなく適正に申告されているかどうかを目的として行われ、調査対象は同居相続人に対して行われるので、相続人にとっては自分のことでないので十分に返答できないことも少なくありません。そのことが“他に隠し財産有り”と疑われる原因となり、“売り言葉に買い言葉”で、双方ともかなり荒っぽくやり合うことが多いのです。その結果、課税庁側も隠している財産を発見すべく、「そこまでやるの?」と思われるくらいに強引な調査をする時もあります。
- A 調査での質問事項は概ね次の通り
- イ. 被相続人および相続人の経歴等
1.先代からの親族関係および相続関係図表の確認
2.学歴、職歴、役職、趣味、し好品、習性、交友関係
3.相続人の勤務先の住所、会社名、地位、家族構成 - ロ. 病歴及び死亡時の状況
1.病名、発病時期、病状経過、入退院の状況と期間
2.医療費の支払状況と金額及び支払財源
3.香典帳や弔問客名簿で申告書記載の金融機関以外との取引の有無 - ハ. 被相続人の財産管理と運用状況
1.同居家族の生活費の負担者は誰だったのか
2. 取引金融機関名と取引状況の確認のために通帳の提示
3.証券会社と取引があれば、株式売買を証する資料の提示
4.普段の現金預金の管理者と入院してからの管理者は誰だったのか
5.被相続人が家族以外の者へ生活費の負担をしていたかどうか
6.法人代表者の場合は秘書または経理担当者の財産管理の状況
7.通帳や証書に使用されている印鑑の照合と名義預金の有無
8.貸金庫の有無と、あれば同行を求めて中身の確認
9.国外財産の有無は通帳で海外との取引記録を確認 - ニ. 預貯金の引出しとその使途
1.大口引出しは家族間の資金移動のためかどうか家族の通帳の確認
2.通帳を通さない定期預金や積金の解約の有無とその使途
3.死亡直前の引出し額と手許現金の申告金額との差額理由
4.過去に不動産売却で得た大金の行方を追いかける
5.1人暮らしで家政婦がいた場合の預貯金の引出しの依頼の有無
6.被相続人の預貯金が分割協議書通り名義変更されたかどうか - ホ. 相続人の財産形成状況
1.同居相続人の所得状況と預貯金の確認
2.無収入の配偶者の預貯金の有無とその発生原因
3.同居相続人と孫の預貯金が急激に増加していた場合にはその理由 - ヘ. 借入金の発生原因とその使途
1.借入金はいつ、何のために発生したのか
2.全額消費されたのか、残高があったとすれば固定預金にしたのか - ト. 土地評価の適正度
1.アパート・マンションと専用駐車場が一体化かどうか
2.同族会社からの賃貸料の有無と過去の賃貸借契約書の確認
3.特定同族会社事業用宅地の該当の確認 - チ. 遺産分割協議の状況
1.遺言書の有無
2.形見分けの有無
3.各相続人の要求と分割協議成立に至るまでの経過
4.相続登記終了の確認
5.未分割の場合は、その理由と今後の分割協議成立の見込とそれに要する期間の確認 - リ. 申告書の作成段階
1.申告書作成のための資料と原始記録書類の提示
2.財産の把握方法について